温泉街水上

上越線を来た電車はここ水上(みなかみ)まで。高崎行きまでの一時間、駅を出て水上の温泉街を歩く。
水上の温泉街は草津や野沢温泉の様に「駅からバスで何十分…」という訳ではなく、駅から歩いて十分という所にある。

水上の温泉街は、昔は賑やかだったと地元の商店主曰くであったけれども、今や、大きな旅館やホテルが数軒あるだけで、温泉街としての華やいだ雰囲気は無くなっていた。
温泉街入ってすぐの大きなホテルは潰れて放置されて何年経つのか廃墟と化しているし、件の地元の商店主によると、もう少し先の藤屋というのも潰れたんだよと話していた。
駅に戻って高崎行きの列車に乗る。
水上から高崎の方へ下る(上りの)列車は結構あるのに、長岡(新潟の方)に行く列車は一日に五本。

走り出してしばらく行くと、いつの間にか雪は止んでいた。だいぶ平野に降りてきたという事か。風が強いとかで、渋川の手前の大きな川にかかる橋をゆっくり行く。風が窓を揺らしてピューピューガタガタ。
十一時、家に着いた。
野沢温泉の宿から小一時間、アスファルトの道を下り続けたのがいけないのか、腰が痛い。荷物はほとんど衣類で普段よりも軽いくらいだから、原因はそれだろう。
しかしそれよりもむしろ眠い、お休みなさい。


雪だ


飯山線の車窓より千曲川(信濃川)を見る。壮観。

六日町を通って越後川口で上越線に乗り換え、十日町を通っても(なぜ経路を強調するかというと、小学校の頃社会の時間にこの辺りを豪雪地帯として習ったから。)時折雨が降る程度だったのに、四時過ぎ、越後湯沢をすぎた頃から猛烈に雪が降り始めた。
昨日の宿で夕飯の後温泉に入って、一人日本酒をちびちびやりながら見た、夕方から荒れるという天気予報は当たりだった。


野沢温泉を下る


浴衣と一緒に置いてある、タオルやらを入れるビニールの袋、これはもらって旅の洗濯物を入れて帰る。また旅に出る時、あると便利。

昨晩と同じく、数室の人が集められ、食事。

やまめの干物とお粥など。
温泉街をぶらぶらし、蕎麦を食べて、昨日の道を下って(野沢温泉の一つ先の駅の)上境駅へ。けれども雨が降ってきて、余り散策日よりではない

千曲川(信濃川)にかかる橋の上から。


野沢温泉へ

糸魚川から日本海に沿って少し北に、直江津に行く。
昼御飯は直江津のホームで売っていた、たら弁当。中身はさすがに、たらづくしなのは良いけれど、たらこは真鱈の子では無いのに、などと。
鈍行列車の小さな窓のテーブルでも置きやすいように弁当箱が小さくできているのは喜ばしい。

途中、各駅停車なのだけど車両は特急、という「妙高」と数回すれ違う。
長野新幹線が通って廃止になった、特急「あさま」の車両はこんな所で生きながらえていた。
車両にアイデンティティがあるなら、特急列車で活躍していた奴に、鈍行で長野と直江津の間をタダで行ったり来たりさせて、JRも酷なことをする。
野沢温泉に行く飯山線が分かれる、豊野(とよの)に着くまでに弁当を食べて、丁度、一時間後の戸狩野沢温泉(とがりのざわおんせん)行きを待つ。
糸魚川までしか買ってなかった切符の精算と、糸魚川から我孫子までのジグザグの切符の発券とやってもらう。一時間乗り換え時間のある時でよかった。案の定駅員さんは(駅長さんまで巻き込んで)右往左往していた。そして出してもらった切符。

飯山線は千曲川(信濃川)にそって進む。

(最近の液晶ファインダーは凄い。以前なら早い動きについていけなかったのに、車窓から撮っている感じを出そうと線路の標識を入れたらちゃんと入っている。)
戸狩野沢温泉で降りたら来ていたバスに乗って山の上の野沢温泉へ。
「大糸線から帰ってくる途中になんか温泉でも泊まりたいな、あ、『野沢温泉』がある!」
ぐらいに思っていたぐらいで、ちゃんと着くか(乗り換えが間に合わないという可能性ももちろんのこと雪や天災で立ち往生という可能性もある)分からなかったし、気まぐれで別の方向に行くなんて事になる場合もあるし、宿はとっていなかったので、温泉街をうろうろして今宵の宿を探す。とりあえず目に入った老舗っぽい大きな旅館に入り、「泊めてくださ〜い」と。
十畳の部屋に通され、部屋まで付いてきてお茶を入れてくれたおばちゃんに、明日の飯山線へのバスの事を聞くと、戸狩野沢温泉の次の上境(かみさかい)の駅の方が実は野沢温泉からは近くて歩いていけるから、便の悪いバスよりかそうしたらどうかと。
少し休んで明日の予行演習と思い歩いてみると、遠い遠い。
遠くに目的の駅が見えるところで、もう帰ろうとすると道の看板に「野沢温泉 3.5km」とある。
道は、雪山を望む景色ですがすがしく良いのだが。明日はゆっくり歩こう。
散歩を終えて野沢温泉へ帰る道は暗くなりかけて。

旅館に帰ると日はとうに暮れて。


大糸線を行く

信濃木崎駅
八時二十二分の電車で信濃木崎を出る。信濃木崎駅は小さな無人駅。
この電車は途中の南小谷(みなみおたり)まで。
白馬を通り、雪山の中を「コトトン、コトトン、」と駆けていく。けれども実は「雪山」なのはスキー場だけで、半分ぐらい地面が見える。


南小谷からは一両のディーゼルカー(いわゆる「タラコ色」という旧国鉄の色ですな)に乗り換えて。向こうはここまで乗ってきた電車。
出発すると、「ムオオーン」とうなりをあげて、よっこらしょと走っていく。

終点、糸魚川(いといがわ)駅の売店では乗ってきたディーゼルカーのグッズが。結構有名らしい。


今宵の宿に着いた


小淵沢の駅で時間があるので、改札を出て駅の売店を覗くと、地ビールがある。瓶の物しか無いのか聞くとそうだと言うので、仕方無く瓶を さきいか と買うと栓を抜いて瓶の口にラップをかけてくれた。
小淵沢からの長野行きの電車は案外混んでいて、ボックスシートの窓側には行けず、通路側に座って足で瓶を挟んで一杯。
長野行きの電車を途中松本で降りて、大糸線に乗って信濃大町へ。
大糸線で向かいに座った、終点大町の人というおばさんは、雪山のように白い犬を抱えていた。
こちらに来るに従ってだんだん晴れてきていて、外に雪も無いし「雪景色を眺めて車窓を楽しもうと思ったのに残念だ」という事を言ったら、「雪なんか降ったら大変よ…」と言われてしまった。
終点の信濃大町で降りて一時間近く次の電車を待つ。今宵の宿はたった二駅先の信濃木崎なのだけど、急ぐ旅でもないので駅の待合室でぼーっと。
信濃大町から知り合ったオーストラリア人のカップルは、今朝七時に成田に着いて東京まで成田エクスプレスで出てそれから長野新幹線で長野に出て来たというのだから、鈍行旅もさして時間はかかっていないという事か。
木崎で降りユースホステルに着いた。周りを散歩して、宿の温泉に入ろうか。


信濃路へ(あずさに抜かれながら)

実家から歩こうと七時半頃家を出たら、丁度バスが着たので西荻窪駅へ。日曜日なのでここに中央線は停まらないから三鷹に出る。
予定ではここから特別快速で終点の高尾まで出て小淵沢行きに乗るつもりだったのだが、時間に余裕があるので丁度来た「ホリデー快速『おくたま・あきがわ』号」に乗る。
この電車は立川から青梅線に入ってしまう筈なので、立川で後から来る高尾行きに乗れば良いという事だ。
ホリデー快速と銘打つくらいだから、車内はもっとホリデーホリデーしたものかと思ったが、車両は普通の中央線の通勤電車だし、車内を見渡しても普通の人ばかりで、リュックを背負った中高年とか、ハイキングっぽい方は余り見かけない。
立川で降りると駅の電光掲示板には来るはずの特別快速の所に「普通」と。不安になって駅員さんに「三鷹を8:05に出た筈の特別快速は何分に来ます?」と聞いてみる。「17分に来ますよ」「でも特別快速なのに『普通』と…」「立川からは全部停まりますので」。この「知らないの?」とでも言うような、オタクの人をバカにしたような目は…
終点の高尾で甲府の向こうの小淵沢(こぶちざわ)行きに乗る。
十一時過ぎに終点の小淵沢に着くまで後はボックスシートでぼーっとしていれば良い。
席を陣取って鞄を置いて、ホームの売店でおにぎりとお茶を買い、走り出したら食べ始め、ぼーっと。
空はどんよりとしているが、冬の茶色い景色の中で、庭や畑に植えられた桃や梅がきれいだ。
今山梨市という甲府の手前の駅であずさ号の待ち合わせ。


明日、旅に出ます。

このところ閑なので、雪の中を一両の列車でコトコト走りたくなって、明日、旅に出る事にした。
中央本線を通って行くにはやはり中央線にある実家が近いので、今日は実家に来た。明日朝西荻窪から中央線をひたすら奥へ奥へと進み、松本から大糸線に入ってそこで一日目は泊まり、明後日、日本海側の糸魚川(いといがわ)に出てから直江津まで少し日本海に沿って行き、内陸に入って野沢温泉に泊まり(二泊目)、上越線を東京まで帰ってくるつもり。
予定通り行かないのが鈍行旅の楽しさだけど、果たしてどうなりますやら。
旅の記録に28mm単焦点でズームの無いGR-digitalは辛いので、同じリコーのR10を今日買った。
昨日こせきさんと、「R10が欲しいんだけどどうだろう」なんて話をしていたら、ボディの色が三色あるのだけど茶色は近日発売の最新機種からはもう廃止されてしまうそうで、最初は「不人気だから消えるだけなんじゃないの?」と思っていた僕も、「良いと思うんだけどな、あの色」なんて言われるとなんか良く見えてきて、結局そのブラウンを買った。