「『ユルユル』映画」(犬猫)


映画「犬猫」を観た。(一応云っておくけれども、「ケンビョウ」では無い。)
都内のありふれた安アパートに暮らす若者達の日々。夢を追うでもなく、自分探しをするでもなく、仕事に生きるでもなく。主人公の女性二人は、突然「これからはやっぱ中国じゃん?」といういい加減且つ訳の分からない理由で「留学する!」と旅立った「アベチャン」の部屋に同居する事になる。でもって物語のクライマックスは、片方の女の子が連れ込んだ男は、コンビニのバイト先でもう一人の女の子が密かに想いを寄せていた男だったのだっ! …ってまあこれだけ(と云っても少女マンガ調では無い)、何が起こるでもなく、でもまあ何かみんなユルく、テキトーに、等身大で生きてる。そんな映画。
非常に面白かったです。大好き。ナマナマしい。パンフレットも買ってしまった。
若手自主映画の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」で受賞し、8mmフィルム(ビデオが出る前にあった「ジーッ」というヤツ)で作られた作品が好評を博し、監督自身の手でリメイクというシンデレラストーリー。
舞台は当然都内の色々。江古田やら井の頭線沿線やら、見慣れた場所が色々出てくる。でもって女の子が行く古びた図書館(そこで会う幼なじみは、暑いから図書館に来たという不埒な男)、その外観どっかで見たと思ったら、昔よく行った杉並区立「柿の木図書館」、「西荻図書館」ってのが昔は無くてね〜、ってまあ良いや。(「撮影協力」の欄を参照
井の頭線沿線に帰ってきてたどり着くのは江古田というのはどうかと思うぞ?なんて考えながら、雪の井の頭線で実家へ。


「何で〜?」(ハウルの動く城)


柏に出て、映画「ハウルの動く城」を観た。
感想は… 段々失速していく感じ。設定や脚本がよく練られていた感があって、前半はトントンと話が小気味良く進んで行き、冒険活劇という娯楽大作として、非常にこの先の展開に期待を持たせるのだけど、時間に追われたのか、後半は大ざっぱな作り。観ていて「何で〜?」という所が多々ある。某FMラジオで、「前半30分で『これは日本映画に残る作品かもしれない』と思い、次の30分では『これは宮崎アニメに残る傑作かもしれない』と思い、後の時間は…」という話をしていたが、そんな感じ。
例えば敵がスパイとして忍び込ませたヤツが味方グループの一員になってしまうという所など、本来ならば、敵の親分から云い渡された使命との板挟みになり、そこに葛藤が生まれる訳だが、そういう事は一切無視して、突然味方に取り込まれた状態になっているのだ。
例えるならば、「ルパン三世」でルパン一味が銀行強盗に入って行くと、次の場面では札束を抱えて出てくるようなもの。活劇という物は、その過程を見せて始めて観客を楽しませる事ができると思うのだが。
帰りはバスで、いつもの北柏の喫茶店に行き夕飯。


「今年の抱負」をふり返る


長島有里枝の写真展「Candy Horror」を観に、谷中(やなか)(東京都台東区)の銭湯の跡をそのまま使ったギャラリー「SCAI THE BATHHOUSE」に行く。山手線の日暮里駅から歩いたが、元が住宅街の中の銭湯の上に案内図が不能でさんざ迷う。
入った途端、作品よりも先に目に入ったのは紅茶でも飲みながらストーブの前のテーブルで談笑しているアートスティックな数人。久しぶりにおぞましい物を見た。
写真の方は、期待通り?「数年前にもてはやされた若い女の子の生理写真」の「最後っ屁」的な雰囲気をプンプンさせる意味不明な写真群。(彼女の)最近の写真として出てきてたヤツはもっと良かった様な気がしたんだがなあ…
恐ろしい事をやるもんだ。
近所の図書館と公民館のセットになった施設、アビスタ


巨匠に迫るデジデジの足音


新宿ニコンサロンにて、「三木淳賞奨励賞受賞作品写真展 吉田明広写真展『記憶の地図 〜The wind of Nepal〜』 高木美佳写真展『みね』」(12月20日まで)を観る。前回の村上友重さんの後塵を拝した?二人。でも良かったよ。「高木美佳」ってどっかで見た名前だと思ったら、以前コニカの新人賞みたいなやつ(フォトプレミオ)で特別賞(これも年間賞の二番目)取った人じゃん。写真集も出してて、美術館に作品も収蔵されていて、新人賞?良いのかね?でもプリントはうまかったし、写真ももちろんうまかったです(これは二人とも)。だから良いけど。
新宿三井ビルエプソンの展示スペース「エプサイト」で、藤原新也写真展「フェルナンド・ペアソの午後〜Afternoon in Portugal」(2月5日まで)を観た。エプソンの新しいロボット…じゃなかったデジタルカメラ「R-D1」を渡して写したスナップ写真。
彼曰く、「俺は居眠りを誘うような写真展を開きたいんだよな」だそうで、部屋の中に様々な壁紙(これも彼制作)が貼ってあって、その真ん中にソファが置いてあったりする。そういう一風変わった写真展です。
気持ちは分かるのだけど、ほわんとした所はまだしも、カリカリした線(デフォルトでRAW現像してシャープかけすぎ?)、ハイライトの飛び方、なんか見るとまだまだ…
ここで「ロイヤルホスト」にてお昼休み。980円の昼御飯なんて贅沢〜。風邪をひいて動くのもイヤだったので、同じビル内で。近くのテーブルでは女性編集者がノートパソコン見せながら打ち合わせやってるよ。ウ〜ン、東京。
芝浦のPGI(Photo Gallery International)にて、川田喜久治作品展「地図」(2月10日まで)を観た。数十年前の白黒写真をプリントしたものだが、品質が明らかに劣る。見た所、インクジェットプリント。ちなみに一点四十数万円。
あ〜ダルい。
新宿駅、デパート屋上のビアガーデン跡。


オレが居なけりゃこの会社は

映画「Mr.インクレディブル(「トンでもない」という意味らしい)」を観た。文句無く楽しい映画。話の運びが、ちょっと「調子良すぎるんじゃないの?」という気もしないでもないが。
体(主に腕)が自在に変形するお母さんが大活躍。「バーバパパ」みたい。
終わってからの「旧ソ連」を思わせるクレジット(キャストやスタッフの名前が出て来る奴)が秀逸。
ドンキホーテの火災で亡くなったバイト君達。一旦外に逃げたものの、店内に残った客の為再び店内に戻って亡くなったとか。会社の為(本人達はそう思ったか知らないが)に燃え盛る店内に戻るなんて、「プロジェクトX」の世界ですね。高度成長期を支えてきた、今「オヤジ」と呼ばれ、蔑まれて「キモーイ」と云われている人々のよう。


「足る事を知る事」(ニュースの天才)


映画「ニュースの天才」を観た。
権威ある、アメリカの「THE NEW REPUBULIC」誌の若い記者スティーブン・グラスが、功名心の余り、でっち上げの記事をこっそり書く事を覚えるが、「大手ソフトウェア会社『ジューク・マイクロニクス社』が攻撃を仕掛けるハッカー少年を抱き込む為に多額のお金を払った。」という記事を書く。しかし記事を検証しようと他社の記者が調べてみると、記事中に現れる会社も人も存在しない。
という話。一見ジャーナリズムの云々… のようだが、功を焦る余り、また「本当の自分はこんなんじゃない」という焦り(「若さ」とでも云うのでしょうか)の余り、一生をふいにしてしまう、またそこまで行かなくても社会の信用を失ってしまう。それをいとも軽々とやってしまう人間の恐ろしさ。
私の中では今年の映画No.1です。多分。
再び、新宿のニコンサロンにて、「第29回伊奈信男賞受賞作品展 宍戸清孝写真展『21世紀への帰還 IV』」(12月20日まで)「第6回三木淳賞受賞作品展 村上友重展『球体の紡ぐ線』」(今日まで)を観る。
そのニコンサロン(新宿エルタワー28階)から、ビルの間に覗く山嶺。


「君の手術」

今、肝炎を起こすとして巷を騒がせている「フィブリノゲン製剤」。僕が担ぎ込まれた取手協同病院発表された納入先の医療機関に含まれていた。
「【検査受診の呼びかけの対象者】」ってのが1〜5まであって、でもって「上記対象者以外の方でも、肝炎ウイルスに感染している場合がありますので、」と来る。んでもって「昭和63年7月以降、フィブリノゲン製剤は、基本的に『やむを得ない場合に必要最小限量を使用すること』とされた」とか、リスト内の病院毎の注釈には「対象患者: 入院し、手術をした方」とか書いてあったけど(大体僕は、手術をしてから入院したのであって、「入院し、手術をした方」じゃ無いぞ?)、よく分からないので、誰が知ってるって一番詳しいであろうその時手術をされた先生(鶴岡信先生)にメールで訊いてみた。(オイオイ)
数時間後にはメールが返ってきて、「脳神経外科における手術時には報道されているフィブリノーゲン(カタカナ表記が厚生労働省の発表と違っている所がプロっぽいじゃありませんか)製剤は使用しません。」と書かれた後、「もちろん君の手術時にも使用しておりません。」だそうな。そう云われれば文句は無いわな…ハイ。一安心(私は)。