熱にうかされて


昨日、映画「クライマーズ・ハイ予告編)」を見た。
亀有の駅から少し離れた所に出来た田舎のジャスコみたいなショッピングモールの中にあるシネコン、MOVIX亀有は、夏休みの子ども連れで一杯。みんな「ポケモン」に行く。
日航機の事故と、地元の地方新聞社の物語。
実は原作者が横山秀夫とは知らなかったのだけど、そういえばあの人は群馬の上毛新聞の記者だったのだし、地方新聞社の内情に詳しいわけだ。
この話が面白いのは、日航機の事故という主題よりも、むしろ地方新聞に勤めていては一度遭遇するかしないかの大ニュースと、それに伴って起きる一地方新聞社内の内実である。
社内には「大久保清事件」や「あさま山荘事件」(大久保連赤)で活躍した世代が偉くなっていて、若手記者に当時の話を自慢げに語ったり、精神論をぶちあげて内心呆れられている。そこに起こった日航機墜落事故。若い記者達はいきり立ち、次々現場で他社を出し抜くような特ダネを物にして来る。けれども
紙面を割くために近所のショッピングセンターの開店の広告を落とし、販売の人に「必死に頭下げてその広告とってきたのにっ!」と怒鳴られ、
十五日には群馬県出身の中曽根首相の靖国参拝を一面にするとか、でもそうすると福田(赳夫)側がうるさいんじゃないかとか、
特ダネの裏がとれるまで発行を遅らせるため、配達のトラックの鍵を盗んで配達に出られない様にしてしまい、販売側とにらみ合いになったり。
刻々と配信を受けている共同通信からニュースが入り、それが局内に「キンコーン・キンコーン」と鳴り響き、その下で怒鳴り合う記者達の緊迫感は凄い。
ちなみに「クライマーズ・ハイ」とは、山男が山登りの中、頂上を目前にして高揚した気分の中で普段ならしないような危険な行動に出てしまう事を言うらしい。
映画の後、青山の友人の実家のマンションに行って友達と食事をする。


色々巡った

「日本一安全な街 柏」という駅前の横断幕
今日は五時に久々に日芸の先生の所に行って、プリンタの色(カラーマネジメントっちゅう奴ですな)について聞く話になっていたんだけど、その為だけに山手線の向こうまで行くのも癪なので、品川のキヤノンギャラリーSで写真展を観て、恵比寿の東京都写真美術館に行き、新宿のコニカプラザでフォトプレミオの年度賞の展示をやっているのでそれに行く…のは無理だったのでそのまま新宿を通り越して江古田へ。
恵比寿の東京都写真美術館では森山大道さんの展示をやっていたけれども、見に来ていた半数以上が女性だったのにびっくり。
何か柏の方が騒がしいようだが、事件が起きたのは柏と合併した旧沼南町。我孫子は最初合併に加わるなんて話もあったんだけど、抜けて良かった。
数日前映画を観に行ったときに見た横断幕。駅を出たらこんなのがあっちゃあ、治安の悪いのを自ら宣伝しているようなものだと思う。
映画「ザ・マジックアワーgoo映画による解説)」を観た。
もう文句無く面白い。面白すぎると笑いの反射神経が麻痺しちゃって、笑うのに疲れちゃうんだけど、緩急付けて、笑わせたり息詰まるシーンを入れて、計算し尽くされた笑いが凄い。


死刑制度について少し考える

蔵前のブリキのおもちゃ屋さんのショーウインドウ
昨日、映画「休暇goo映画による紹介)」を観た。
刑務官として、とつとつと毎日をこなす中年男。死刑囚の青年。
死に向かわせ死と対峙させる事が罰、というのが死刑という制度だとしても、
執行日が数日後に決定しても本人はもちろん、面会に来た家族の前でも平然を装い、執行の時には、刑場を掃除し、狼狽した当人を刑場に引きずり出し、教戒師の話を聞かせ、ボタンを押して刑を執行する。
「支え役」という落ちてきて痙攣する死刑囚を支える役をすると、特別に一週間の休暇がもらえるという事で、彼は結婚したばかりの妻との新婚旅行の為、自ら進んでその役を買って出る。
彼の結婚式で、新郎の紹介に立った人の心ない言葉「…彼等こそ、極悪非道の輩共と毎日戦っているのでありますっ!」に、列席した同僚の刑務官が皆困惑した様な、怒りを秘めた様な顔をして下を向いてしまうシーンが印象的だった。
死刑という制度がどうかは分からないけれども、少なくともそこで働く刑務官という仕事の人々に、仕事という範囲を超えた精神的苦痛を与える制度である事を考えた方が良いよな、なんて思う。
仕事の打ち合わせに出て、ついでに両国の東京隅田川ユースホステルでユースホステルの会員証の更新をした。
蔵前の辺りはおもちゃ屋さんが多くて、ブリキのおもちゃ専門店なんてのがあった。


久々に映画なぞ

昨日、急ぎの納品があって、築地に行った。行って帰るのも癪なので、日比谷シャンテで映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッドgoo映画の紹介予告編)」を観た。
最近どうもお金が減らないと思ったら、映画を観たのは約二ヶ月ぶりだった。
石油に取り憑かれた様に働き、障害があってもまた立ち上がり、のし上がる為には自分の誇りを捨てて、泥だらけになって生きていく。
けれども突然現れた「弟」を信じ込み、むしろ自分から信じようとしてしまう様な気持さえ感じてしまう。
久々に凄い映画を観た(無理矢理用事を作ろうと適当に選んだ映画だけれども)。
細かい感想はこちらこちらのブログが詳しい。


引きこもりの妄想世界(非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎)

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎
一昨日、映画「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎goo映画による紹介予告編)」を観た。
ヘンリー・ダーガーは、1973年に亡くなるまで、アメリカのアパートの小さな部屋に暮らし、病院の掃除夫として一生を終える。
しかし部屋の中で孤独な老人は、七人の少女「ヴィヴィアン・ガールズ」が悪の世界と戦う、秋葉系のアニメの妄想みたいな世界をひたすら、描き続けていく。しかし生涯女性を知ることの無かった彼の描く少女には、ペニスが付いている。
死後(死と重なるようにして)、アパートの大家に絵は発見され、濃密な世界が初めて、世間に評価される。
その長大な叙事詩を追いながら、同時に生前の彼を知る人へのインタビューを交え、映画は孤独な老人の姿を掘り下げていく。
稚拙で色の濃い世界が動き出す様は、濃密であり、また少々気味が悪い。


「ぜんぶ、フィデルのせい」映画の感想

武蔵野線西国分寺駅に停まっていた583系
一昨日実家に泊まって、昨日は恵比寿ガーデンシネマに、「ぜんぶ、フィデルのせいgoo映画による紹介)」を観に行った。
主人公の少女アンナは、弁護士の父と雑誌編集者の母を持ち、裕福な家でカトリック系の小学校に通う女の子。
けれどもある日両親が共産主義に目覚めてしまったお陰で「富を占有するのは良くない」と家を移るハメになるし、学校ではキリスト教の時間に出られなくなるし、新しい狭い家にはヒゲ面の「革命家」なる怖いオジサン達が出入りする様になるし…
そして少女は自分なりの結論を出す。「ぜんぶ、フィデル(キューバのカストロ議長)のせいなのね!」
親の(きまぐれな)方針に否応なく付き合わされて、少女は困惑する。
だってこれまでは白人のお手伝いさんがスイミングスクールに連れて行ってくれたり、身の回りの事をやってくれたのに、変な黄色人種のお手伝いさんは来るし、
富の再分配なんて知った事じゃないのに、まずい食事は食べさせられるし。
前は喜んで遊びに来てくれた学校の友達は逃げちゃうし、
髭のオジサン達とお店屋さんごっこをしようとして、物を売ろうとすると「それは…」と小難しい話をされて揚げ句に「物々交換しよう」なんて言われちゃうし。
そして困惑して終わらずに、聞き分けの悪い少女は環境の変化を受け入れて、その中で生きようと前を向いて歩いていく。自分からミッション系の学校から普通の、白人以外の人種もいる公立学校に移ると言い、「お友達がいなくなっちゃうわよ」と母親に言われると「またできるから大丈夫」と応える。
「困惑」からの展開は、ドラマも面白い話も無いし、ここまで「どうなるの?」と思わせておいて「渋々現実を受け入れる」様な、これかよ。と思われる感じもするけれども、それがこの女性監督の、現実的な目なのかもしれない。
今日、浦和に行こうと思って西国分寺から武蔵野線に乗り換えようと思ったら、旧国鉄の「働きマン」583系(昼は特急電車、夜は寝台車になった。)が停まっていた。


雪の日の外出

青山ブックセンター(ABC)本店と同じビルの un cafe(アンカフェ)のサンドウィッチ
前夜寝るときには、しとしと外から聞こえてきたのに、朝起きると静か。止んだと思って雨戸を開けたら、夜の雨は雪に変わって降り続いていた。
髪がいい加減伸びてきたので、床屋に行く。雪の日の朝から来る奴もいないだろうと思って行ったら、考えることはみんな同じ様で、既に二人待っていて終わったのは昼。
今日は数週間前から楽しみにしていた青山ブックセンター(ABC)でのチェコアニメーションの無料上映会なので、「何もこんな日に降ることも無いのに」と思いつつ家に戻ってバス停へ。
我孫子駅に行くバスは時間通りで、逃してしまった。悔しいからそのまま、雪の上を用心しいしい駅まで歩いたら、時間がかかってしまった。素直に次のバスを待てばいいのに、と、いつも歩いてから冷静になって思う。しかも折り畳み傘の袋を無くしてしまった。
そして上映会。
アニメーションフィルムBOOKシリーズ1『ふしぎな庭#01』(宙出版)刊行記念
『ふしぎな庭』 ポヤル&シュチェパーネク アニメーション作品上映会

「ふしぎな庭シリーズ」全5作品上映
「動物がすきな男」「広がる霧」「トラを捕まえろ」「銀紙に包まれたねずみの話」「クジラのラジク」

こうしたほのぼのとした素朴な世界を、儲けに関係なくその道を追求できたというのは、一つの良い時代と社会だったのだろうけど、今の日本は資本主義の成熟した形として社会主義の方向へ(共産主義じゃないよ)行っても良いと思う。
お昼を食べる間もなくここに来たのだけど、上映会が終わっても雪はまだ降っていて、外に出るのさえも億劫なので、同じビルの同じ地下一階にある喫茶店「un cafe(アンカフェ)」へ。
サンドウィッチのセットが1,365円、「さすが青山」と思ったけれど、来てみると大きなお皿においしそうなサンドウィッチ二つとフライドポテトとピクルス二本。サンドウィッチに挟まれたローストビーフはおいしいし、レタスもトマトもおいしい。
写真日記に載せるつもりもなくケータイに付いたカメラで撮ったので、色が転んでポラロイドみたいになってしまった。
折角なので、アサヒカメラを立ち読み。D3と一緒に出たニコンの新しいナノクリスタルコートの24-70mm F2.8 レンズ、良さそうだなあ。逆光でゴーストが殆ど出ない(記事によるとそうらしい)ってのは良いよ。
持っているのが12-24mmと70-200mm。ちょうど間を埋めるのに17-55mmではなく24-70mmってのは良いよな、なんて。
さて、表参道から千代田線で我孫子行きに乗ってのんびり帰るか…って、常磐線への乗り入れ止めてるよ。北千住で乗り換えて帰るか。


「もてあそばれるのも良いもんじゃん?(人のセックスを笑うな)」

荻窪の福祉事務所の受付にあった新しい杉並区のマスコットキャラクター「なみすけ」のぬいぐるみ
昨日、渋谷の映画館で、映画「人のセックスを笑うなgoo映画による紹介)」を観た。
題名も刺激的だが、原作も山崎ナオコーラという凄い(安直と紙一重?)名前の人。
美大に通う三人の仲良し(男二人と女一人)。そこに臨時の女教師(永作博美)が来て、男A(松山ケンイチ)が引き込まれていく。けれども女A(蒼井優)は男Aが好きだけれども大人の女の魅力には勝てなくて何もできなくて。傷心の女Aの事を男B(忍成修吾)は好きで。
最近こういう「美大もの」が受ける(美大系って少人数の実習授業が多いからか、基本的に寂しがり屋が多いからか。)(「ハチミツとクローバー」とか)らしいけれども、僕にとっては、学生時分の自分のバカを見ているようで、結構不快。
隔離された「田舎の美大」という世界とその田舎の地元とのつながりも面白い。
何せ人の多さに驚いた。平日の昼間から映画を観るような若者がこんなに居たとは。僕は一時間前に買っておいたので良かったが、この回の券は(ここは全席指定席券)十分前に早々と売り切れていた。
その後用があって荻窪の、杉並区の福祉事務所へ。受付にあった杉並区のマスコットキャラクター「なみすけ」のぬいぐるみ。「以前のすぎまる君はどうなったんでしょう?」と職員の人に聞いたら、「消されては無いと思うけど、確実に出番が減っているとは思いますよ。」だって。かわいそうに。
(リンクしようと思って探してみたけど、もう殆ど消されてるじゃん。89年生まれのキャラクターじゃあ、仕方ないか。)


「ファンタジーと言うには悲しい話(パンズ・ラビリンス)」

昨日はそのまま実家に泊まって、今日、吉祥寺のバウスシアターという、マニアックな映画ばかりやる映画館の更にマニアックな小さなお部屋で、「パンズ・ラビリンス」を観た。
秋頃、大学からの友人に「あれは気に入ると思うよ〜」と言われ、I社の人からも、「あれ良いよ」と言われていて気にはなっていた映画。
それが吉祥寺の小さな映画館で細々上映が続いていたようで、見に行った。
スペイン内戦の中、小さな女の子が生き、そして死んでしまう物語。家の裏に妖精の国を見つけて、時々そちらの世界に行く。
興味津々の妖精の世界も、あまりに悲惨な(周りの大人たちは裏切り裏切られ続け、殺し殺され続ける。)世界からのせめてもの逃走だったのか。
そして少女はピストルで撃たれ、死んでいく。妖精の世界に迎えられながら。或いは薄れゆく意識の中でそう空想しながら。


富士見ヶ丘に止まる急行(椿三十郎)

井の頭線富士見ヶ丘駅に急行停車
昨日、柏に、映画「椿三十郎」を観に行った。
リメイクというのは端から不利な話ではあるんだけど、やっぱり黒澤作品と比べちゃう。
三船敏郎のむさくるしさ、というのがあって、あの映画はできているのであって、やっぱり織田裕二じゃあ都会のヤサオトコがぎっくりばったりやってるようにしか見えないよ。「汚い」「汚い」と周りの人に言われ続ける
いつも不機嫌で、何か言ったらすぐぶん殴られるんじゃないかというあの雰囲気…
最後の決闘で、血がどぴゅーっと吹き出るのも無かったし、最後まで何人人を斬っても血が流れる事もなく(血がしたたる音だけする)、終わる。
にしても、オリジナルと比べるからいかんので、一つの時代劇映画としては面白い…かな?
北千住で用事を済ませてから久我山のピアノの先生の家に行こうと、渋谷から井の頭線の急行に乗ったら、明大前を過ぎたあたりで、なんか故障でもあったらしく、「この電車は車両点検の為富士見ヶ丘に停車し、車庫から出てきた新しい車両に乗り換えてもらいます。」という放送。
富士見ヶ丘は急行が止まらない駅なのだけど止まって、みんな下ろされてホームで待っていると(富士見ヶ丘は島式の、一つのホームの両側を線路が通っているだけの小さな駅。)、車庫から新しい電車が出てきて、それに乗り換えさせられた。
面白いのは「これからも急行として運転します」という事で、次久我山止まったら次は終点吉祥寺までノンストップ。富士見ヶ丘で偶々電車を待っていた人は大喜びしてた。
という知らない人には何も面白くない話。
富士見ヶ丘の駅の次の列車を知らせる電光表示板は、普段なら「通過」となるのに「急行」だって。凄い、歴史的瞬間かも!