「土ぼこりの匂い」(エレニの旅)

映画「エレニの旅予告編)(テオ・アンゲロプロス監督)」を観た。
幼くして孤児となり、幼なじみの男との間に子をもうけ、第二次大戦に飲み込まれゆくギリシアの近代史の中の、一人の女性「エレニ」と、一つの国の、旅の、物語。
前編通して「土ぼこりの匂い」とでもいうような「匂い」が漂っている。なんとも云えないのだが、イラン・トルコ映画の秀作にも共通した「匂い」があると思う。
その匂い立つ映像の一つ一つが美しい。
宮沢賢治の小説に共通する匂いもあるが、それは、「『湿った』土ぼこりの匂い」だと思う。
主役のエレニ役の「アレクサンドラ・アイディニ」が、あどけなさの中に芯の強さを持つ女性を演じている。
ギリシア映画という事でもしやと思ったら、字幕翻訳は作家の池澤夏樹氏だった。
映画館の近所の富士フォトサロンに行ったら、就職した「ササキスタジオ」の写真展か何かで、日芸同級生が居た。
このまま帰るのもしゃくなので、上野の国立西洋美術館にて、もう一度「ラ・トゥール展(5月29日まで)」を観る。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です