取り立てが来た

サラ金からの督促状
一昨日の金曜日、来客があった。
「キンコーン」と鳴ったので僕がドアの横の台所の窓から顔を出すと、生瀬勝久似の怖いお兄さんが、黒いスーツに腕やら胸やらに金色のをチャラチャラさせて立っていて、僕の顔を見るなり、ドスの効いた声で「あぁ、お母さん居る?」と言ってきた。
僕は何が何やら分からず、「…用件は…?」とオズオズ訊くと、「増田○子さん居る?お母さんに用があるのっ!」。
そんな用件も言わなければ名乗らない様な人間には真面目に応えるのもバカバカしくて、しばらく、そのコワイ人と「いや、ご用件は。」「お母さんに言う。」「いや、そう言われても。」を十回ぐらい繰り返した揚げ句、僕が折れて(もう十年ぐらいここで一人暮らしなんだからお母さんも何も居ないのだが。)、「いやまあ、今居ないんで…」と言うと「何時頃帰ってくる?」と言う。
「さあ、何年後になるか、数日で帰ってくる事もあれば何年も帰ってこない事も。」なんて落語の『蒟蒻問答』みたいな事を言ったら大変そうな雰囲気だったので、「七時か八時には…」と言うと、「最初からそう言えば良いんだよ。」と相変わらず横柄な男は持っていた書類を封筒に入れ、「これ、お母さんに渡しといて。」と言い残しそれっぽい車で帰っていった。
帰っていってからおずおず封筒の中身を開けてみると、サラ金からの「督促状」だった。
曰く「…早速ですが、あなた様は当社との金銭消費貸借契約に基づき、下記債務を負担しお支払期日が過ぎておりますが、ご入金がなされておりません。…」
なるほど、こういうのが来るのか。と、一応まだそういう所にお世話になった事のない僕は思ったけれども、そうなれば増田○子さんは全くの他人、僕の母親は増田×子だし、人違いも甚だしい。
払ってくれない人間には直接家に押しかける、というのは一つの金貸しの使う手だろうけれども、借りてもいない人間のトコに押しかけてどうしようと言うのか。よくテレビで「払って頂けないですとね〜、お宅に伺う事になりますよぉ〜。」ってのを見るけど、何で俺がいきなり「お宅に伺」われなきゃならないんだ。
こんな書類を間違って渡したまんまじゃまずいだろうから、取りに来るのかなと思って記念にスキャナーでパソコンに読み込んだ後丁寧に封筒に戻しておいたのに、それきり音沙汰無い。
しかし数年前にも前のアパートに来たはずのサラ金からの(「お宅に伺う」前段階であろう普通の「金返せ」葉書)が来たし、今回も近所の家と間違えられて、家は見るからに金に困っていそうに見えるのだろうか。
Googleのストリートビューってんで実家周辺を見たら、母親がダサい格好して出掛けるとこが写っていた。


「取り立てが来た」への2件のフィードバック

  1. 笑ってしまったよ。
    次来たら警察呼んであげれば良いよ。こんなアナログなミスがあるのか?

  2. 警察にはその場で一応相談した。
    「まあまた来たら『違うよ』と言えば良いけど、怖い事があったら遠慮せずに110番してくださいね〜。」
    と緊張感のない声で言われた。
    週明けの月曜日に「どうですか〜?」と(またまた緊張感のない声で)電話があったけど、取り立て屋さんはそれから何も音沙汰無いね。
    住所を間違えて取り立てに行くなんて凡ミスをして、親玉に「何さらしとんじゃボケー!」と指でも詰めさせられてなけりゃ良いんだがあの取り立て屋のコワイ人。

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