新宿で映画など

どうも抜き差しならない事があったけれども、それも先週かたがつき、今日は新宿の小さな映画館に「「THE WAVE (ウェイヴ)」」を観にきた。
映画館の指定席券を買ってから、コニカミノルタプラザに行く。岡田雄二写真展「続北関紀行」は、北関東(本人曰く殆どが埼玉県北部の写真だそうだが)の乾いた、何もない、土の匂いが出ていて良かった。
ずーっと、これはネガからのプリントだと思っていたのだが、後で訊いたらデジカメで撮った写真をインクジェットプリンタで焼いたそうで、インクジェットプリントの画像というのはもっと黒が出ない物だと思っていた僕としては、これは一つの暁光であった。
三丁目に戻り、映画館へ。
嫌々ながらも一週間、「独裁」の授業を担当する事になった男性教師、「独裁」とは何かを教える為に、教室の中に独裁国家を作り始める。
まず自分を指導者とし、授業中先生には「様」を付け、発言する時は起立して。皆で足並み揃えて行進し、仲良しグループを引き離して勉強のできる者、できない者を隣の席にする事でクラスの団結を生み出す。 そして制服を作り、集団名「WAVE (ウェイブ)」を決める。
しかし団結と規律の思考停止の快感に酔いしれ始めた生徒たちが、クラスの外でも「ウェイブ」として歩き回り始める。
「ウェイヴ」以外の人間を自分たちから阻害するようなことに始まり、「ウェイブ」のマークを作りそれを町中の至る所に誇示し、本物のギャングと喧嘩をし、町のシンボル的建物にもそれを大書する。
もはや先生の手の終えない所まで「ウェイヴ」は突き進んでいた。
そして最後の授業、講堂に「ウェイヴ」を集めると、彼に従って「護衛」を買って出る生徒にドアを全て閉めさせ密室状態にして、彼(先生)は話し始める。静かに、しかし段々と声も、身振り手振りも大きくなって、「ドイツは腐っている!」「大企業が!」「失業者は!」…
彼自身、皆に崇拝され持ち上げられる独裁者としての立場に酔ってしまっていたのだった。
新聞や雑誌の評では、この先生の意外な豹変までは語っていない。ただ「思いもしない結末へ」としか書かれていない。私はここまで書いたけれども、映画は更に意外な結末へと進んでいく。
最近、ハリウッド系の大作映画に多い、観客を裏切る為だけの無理矢理な結末、ではなく、この映画は意外さと共に「あぁ、なるほどね…」という何とも複雑な気持ちになる。
以前友人に誘われて見に行った「天使と悪魔」は、犯人が分かった時、「意外」というよりも「唖然」。「それはないぜ」という気持ちしかおこらなかったけれども。


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