記録

池袋の新文芸坐にて、黒澤明(東宝DVDオフィシャルサイト)特集とかで、往年の白黒映画「白痴」(1951年)「どん底」(1957年)の二本立てを観た。
白痴」ドストエフスキーの原作の舞台を、札幌に移した作品。
白痴と馬鹿と精神異常の、気違いの物語。
「やけに長い映画だな〜」と思ったら、当初四時間半ほどで完成させていた物の、会社の要請で三時間ほどにさせられてしまい、監督(黒澤明)が「これ以上切るなら、フィルムを縦に切れ!」と激怒したという作品らしい。
どん底」これもロシアの文豪、ゴーリキーの原作の翻案。
崖下の、ボロ長屋(壁が無くなっているが)に住まう、本当に「底辺」の人々と因業大家夫婦の物語。
内容の割にはドロドロしていないのが、さすが。


そう、静謐。

上野の国立西洋美術館にて「ラ・トゥール展」を観た。(5月29日まで)
「ジョルジュ・ド・ラ・トゥール」なんて画家、知らなかったのだが、それも当然。
十七世紀フランスの画家で、画家として時の権力者に気に入られたものの、現存する絵は四十点程しかないという、いわば幻の画家(一番所蔵しているパリのルーブル美術館でさえも六点とか…)。
画家の存在を知らなかった上に、上記解説も観てから聞いたことなので興味無かったのだけど、新聞か何かで絵と絵についての話を読んで、興味を持った。
全く「生き生きとしていない」人形の様な人々の冷たい、ひんやりとした肌が、ほの暗い明かりの中に浮き上がる。「こういうのを何て云うんだっけ?」と思っていたら、場内の解説に書いてあった。そう「静謐(せいひつ)」。


「父と娘の物語」(サマリア)

韓国映画「サマリアYahoo!ムービーによる紹介)」を観た。「魚と寝る女」「悪い男」のキム・ギドク監督の最新作は「援助交際」、韓国の。
照りつけるようなドぎつさは、なりを潜め、しかし畳み掛けるような語り口でそれは健在。
底無しに悲しい、父と娘の物語。
東京都写真美術館にて「小林伸一郎写真展 BUILDING THE CHANEL LUMIERE TOWER」を観る。(4月17日まで)
場の凄さは分かるけれども、それだけ。撮影者のそれでは無い。
置いてあった写真集はそれなりに観るべき物があったから、撮影者がシャネル銀座ビルに捕らわれの身となってしまった様。
ちなみにシャネル(CHANEL)は東京都写真美術館の設立にお金を出した一社。