「父と娘の物語」(サマリア)

韓国映画「サマリアYahoo!ムービーによる紹介)」を観た。「魚と寝る女」「悪い男」のキム・ギドク監督の最新作は「援助交際」、韓国の。
照りつけるようなドぎつさは、なりを潜め、しかし畳み掛けるような語り口でそれは健在。
底無しに悲しい、父と娘の物語。
東京都写真美術館にて「小林伸一郎写真展 BUILDING THE CHANEL LUMIERE TOWER」を観る。(4月17日まで)
場の凄さは分かるけれども、それだけ。撮影者のそれでは無い。
置いてあった写真集はそれなりに観るべき物があったから、撮影者がシャネル銀座ビルに捕らわれの身となってしまった様。
ちなみにシャネル(CHANEL)は東京都写真美術館の設立にお金を出した一社。


社会より個人へ

国立近代美術館にて、「ゴッホ展 孤高の画家の原風景」を観た。(5月22日まで)客観的な「色」より、狂気にかられた主観的な、雰囲気としての「色」が、なんとも。
ゴッホの同時代の、いわば「おまけ」として展示された人々が豪華で、始めて実物を目にしたゴーギャンの絵に目が行った。
韓国映画「大統領の理髪師」を見た。
「大統領の理髪師となった市井の床屋の主人が翻弄される内部の政争と国家。」のような内容に期待して(予告編は明らかにそちらの方向に誘い込もうとしていた)観に行ったのだが、本編では社会よりも個人へと向かう主人公(市井の床屋)に視点が移っていって、どうも…
「個々人の幸福」を追求する事を非難するつもりは毛頭無いけれど、「映画」としての視点は(他の表現芸術と云われる物も併せ)、やはり時代の流れとして(韓国という国でさえも)、ご多分に漏れずそういう方向に向かってしまうのか、と思いつつ。


観た、それだけ。

映画「北の零年」を観た。なんか全てが予定調和のメロドラマで、最後は「力をあわせて農民が鍬(くわ)を持てば権力集団にをも勝つ!」ってんで、吉永小百合が農民相手にアジって「ジャジャーン(完っ!)」って、どういう映画やねん…
少なくとも、観客は泣きに来ているんじゃ無いと思うぞ。
新宿のコニカミノルタプラザにて
フォト・プレミオ 梶原健二写真展「小鹿田(おんた)」』(31日まで)
フォト・プレミオ 西山方康写真展 「こども」』(31日まで)
尾辻弥寿雄写真展「長崎 -照射する夏-」』(31日まで)
を観る。
やっぱり "Visual impact" というか、何か目をひく物が必要だと思いますよ。


「映画と建築」(トニー滝谷)


日曜夜のドラマ「Mの悲劇」がおもしろい。松本清張が原作らしい。
原作の連載が延びて話を続ける必要に迫られたのか、最近長谷川京子が善玉に変わっちゃって、あの「何を云っても企んでる」ワルい女ぶりが見られ無くなって惜しい。
金八先生(リンクは現在放映中の物)」では教員、「グッド・ラック(GOOD LUCK!!)」では(飛行場の)地上整備員が流行って、今度は警備員ブーム?しかしあんなに現場からボコボコ本社に上がるもんなんだろうか。
新宿のコニカミノルタプラザにて、
AMRIT VAJRACHARYA写真展「私の街 パタン」-Kingdom of Nepal-
ハレの場ばかりなのが気にならないではないが、かなり撮り溜めたであろう内容の濃さ、面白かった。
陳衛中写真展「第三極 —中国西部印象」CHEN WEI ZHONG PHTOGRAPHY EXHIBITION The Third Pole-West of China
派手な風景写真だなあと思ったら撮影者は「上海を基点に活躍するコマーシャル写真家」だそうで、道理で。
映画「トニー滝谷Yahoo!ムービーによる紹介)」を観た。監督: 市川準、音楽: 坂本龍一、撮影: 広川泰士(写真家)、そして出ているのがイッセー尾形と宮沢りえ、という何だか豪華な布陣である。しかも原作は村上春樹の短編というのだから、怖い物無し。
内容は、「ドロドロの寸止め」。
総じて建築が凄くて、主人公、トニー滝谷の家は横浜の高級住宅地らしき丘の上。窓の大きな、白を基調とした家が、彼の空虚且つ孤独な環境を物語っていて、秀逸。
開演前の映画館にて、がら空きの客席に向かってテアトル系映画会員の宣伝をする男。「こんな人生もあるのかな」と思ったり。


往年のアイドル

六本木ヒルズ内のシネマコンプレックス(一つの映画館がスクリーンを6つも7つも持っている。割とマニアックな物もやっている。)にて、成瀬己喜男監督の「浮雲」(1955年)(3月11日まで)を観に行く。
以前日芸の授業でレーザーディスクでか何か観たのだけど、面白かったので再び。
館内には「往年のアイドル」「森雅之」を再び観ようと来たオバサマ方が一杯。
映画の登場人物というのは、自分の近辺に居ちゃ困る位バカでイヤな人間の方が面白い物だ。その点この主人公の富岡(森雅之)という男は申し分ない逸材で、終始女にだらしない。
日比谷の「みゆき座」が閉館になってしまうそうで、それにあわせて「往年の名画」って奴を一本300円(やけだな)で観せてくれるのだそうな(3月26日〜3月31日)。混むのだろうと見越して、3月19日から指定席券(500円だけど)を売り出すのだそうな。
中には、1964年の「博士の異常な愛情」なんてキューブリックの白黒映画もある。
原題は「Dr.Strangelove」。凄い翻訳があった物です。


イヤな男

ライブドア堀江社長のフジテレビ乗っ取り(手早く云うと)話、日本ではまだ、良くも悪くも、「資本主義」や「市場原理」では無いものがある。良くも悪くも。
共産主義ブームの再来かな?
衛星第二にて、映画「第三の男」を観る。主人公?の悪役(ハリー・ライム)、嫌味な顔が「何か見た事あるなぁ〜」と思ったら、昨日DVDを観たばかりの「市民ケーン」のオーソン・ウェルズだった。


信心、卒展、映画、酒。


銀座に映画を観に行く(一昨日は柏に行き、段々と遠出のリハビリ。)が、11:25の回には間に合いそうもなかったので、13:55の回に目標を変更し、雨の浅草を歩く。と云っても寒くて寒くて、東武浅草を降りて、雷門から仲見世を通って浅草寺へ。十円玉を切らしていたので、五円玉を御賽銭に、殊勝にも「南無観世音菩薩」。
銀座に着くも、外は寒いので地下道を都営浅草線の東銀座から歩いて「富士フォトサロン」へ、卒展シーズン。
東京工芸大学芸術学部写真学科卒業制作展』(今日まで)。元は東京写真大学と云った由緒ある大学。
今や既定の表現方法としての「逸脱した表現」が多い。
東京綜合写真専門学校第45回卒業展』(今日まで)。写真の専門学校としては歴史のある、作家的要素の強い日吉(東急東横線 横浜市港北区)の学校。
やんちゃな感じは無いが、こちらの方が面白い。一旦社会に出た人も多いだろうから、その「人生経験の差」の様な物が出るのだろうか? 置いてあった学校紹介のパンフレットには講師紹介のページがあって、方々から写真家(写真評論家)をかき集めているが、半分ほどが日芸卒というのは何とも…
映画「故郷(ふるさと)の香り」を観た。昨年観たションヤンの酒家(みせ)」の霍建起(フォ・ジェンチイ)監督の最新作。日本では「山の郵便配達」の監督、と云った方が通りやすいかも。
個人的には、「ションヤンの酒家(みせ)」をいたく気に入っているのだが、今回の作品は、「山の郵便配達」に逆戻りした感じ。それを期待する向きもあるのだろうが。
物語は、数年ぶりに故郷に帰った男(ジンハー=井河)が、今は村の幼馴染みの(ヤーバ)と結婚している初恋の人(ヌアン=暖)に会う。という話。人名と読みが繋がっていないと、字幕では人名が漢字だったり片仮名だったり。
それともう一つ、過去の思い出と現在が交互に進行していく形式なのだが、現在観ているのが過去の事なのか、現在の事なのか、それが分からない。びっこひいてる筈の初恋の人(ヌアン=暖)がぴょんぴょん飛び跳ねているので「これは過去の事か」と気付くか、或いは華やいだ色、多少アンバー(赤褐色)がかっているような全体の色でそれと分かるぐらい。
クサい話を、美しい風景の中に淡々と展開して説得力を持たせる手法は健在だが、この映画はクサさが目立ったかも。お金をかける様になってきたのか、クレーンを多用していて、それが違和感として出てくるのかもしれない。平地に据えたキャメラであればロングショットを撮ってもいわば点(人)と線(風景)だが、クレーンで俯瞰すれば風景を面で捉えられる利点はあるものの、本来人間の目が無い場所から風景を眺めるのは違和感があるのだ。
だけどそれほど悪くないとは思いますよ(フォローになってないけど)。期待故の苦言という面もありますから。
などと云いつつ映画館は平日の昼間から凄い混み方で、何故かと思って訊いてみたら、ここ「銀座テアトルシネマ」に限らずテアトル系は、毎週水曜日、誰でも(男女問わず)1,000円で映画が観られるのだそうな。気を付けよう(私は)。
早朝の地震(茨城県南部を震源とする震度5弱)で起こされたお陰で、眠い眠い。それでも耐えて、夜零時よりの衛星放送で、「ジャック・タチJacques Tati)」(フランスの喜劇俳優・映画監督 1944-1982)の「僕の伯父さん」を(ウイスキー呑みつつ)見始めたのは良いが、翌日目覚めて考えるに、最後まで観た記憶がない。ストーブは消してあり、蒲団に入っていたからきちんと寝たのだろうが、面白かっただけに悔しい。
「DVDを買ってでも最後まで観てやる!」と意気込んだのは良いが、調べてみたら彼の作品集という事でDVDボックスは17,640円。う〜ん、意地でも観ておくんだった。


「豪華ケンラン」(オペラ座の怪人)


柏に、映画「オペラ座の怪人」を観に行く。あの「ソ」から「シ」までを、半音ずつ(ピアノで云えば黒鍵も)順番に五つ弾くのを行ったり帰ったりするダケのテーマ音楽のアレである。こういうアホみたいなメロディーを作って金取る人を「エラい」というのだ?
筋はともかく、凄い。「豪華絢爛」というのは、この映画を云うためにあるんじゃないか(んなわけないけど)という位凄い。観ても損はない。最後はお決まりの、「愛による救済」で大団円!なのだけど。
帰りに高島屋八階の「GINSEI」にてCDを買う。
久我山(東京都杉並区)(何か杉並区の紹介をする良いページが無いかと探していたら、「杉並の歴史」というサイトを発見。「杉並区の旧町名」が面白い。)のピアノの先生に、棚を眺めつつ電話。ブレンデルを勧められるが、結局バックハウス(「ヴィルヘルム・バックハウス」1884-1969)に(済みません)。私が倒れたおり(なんて云えるのも今や感慨深い)、ここに滞在していた母親が残していったCDがその、バックハウスの物であって、それを気に入ったのだった。
市井の意見を問えば、「楽譜の通り」とか「厳格」と云った言葉が出てくるが、何か憑依した様な情熱的な、恐ろしいまでのその演奏は、気迫まで感じられてそら恐ろしい。
なんて云いつつ半年前まで「『アシュケナージ』? 何が凄いの?」なんて云っていたんだけど。今もそれにさして変わりはないかもしれないが、知ったかぶりをするというのも、その第一歩だとも思い。
胃の調子が悪いので、「紹興酒 (600ml)」を買ってきた。中国の老酒の一種、以前はよく呑んでいた覚えがあるのだが、現在の体の状況?では蒸留酒系を探した方が良いみたい(「紹興酒」は醸造酒なので)。酒を呑む度に七百幾らでは…


私は幸福です…?(ビフォア・サンセット)


撮影の仕事で音羽(おとわ)(東京都文京区)へ。都会の真ん中に、丘に建つ豪邸。「旧鳩山邸」とかで、和夫(衆議院議長)、一郎(総理大臣)、威一郎(外務大臣)、由起夫(衆議院議員)、邦夫(衆議院議員)…と続く名門政治家一家のお屋敷。門を入ってくねくねとした坂を登ると、「お屋敷」に必須?の「鹿の首」がにょきっとお出迎え。今は500円(障害者は300円)で、公開されているらしいが、高いので、外から眺めるのみ。
門の所には、五代目の都議会議員「鳩山太郎事務所」の縦看板が。どういう事務所やねん!
麹町(こうじまち)(東京都千代田区)に行ったので、折角だからとJCIIへ。
明治の古写真 「スティルフリードが見た日本」』外人が見た江戸時代の「オー!エキゾチックジャポーン!」の湿版写真。作者の動機はそうでも、それが記録となるのでしょう。
仕事を終え、新宿のコニカミノルタプラザにて(いずれも2月14日まで)
わだ晶子写真展「豊美なる伝統行事」〜ヒンドゥークーシュ山脈の異教徒カラーシャ族〜』『高田昭雄写真展「橋脚になった島」1972〜2004』『兼平雄樹写真展 「同潤会江戸川アパートメント」』を観る。
「同潤会江戸川アパートメント」は、もうちょっと陰の部分があった方が良いと思う(いろんな意味で)。あああけすけにカラーで撮られると…
恵比寿ガーデンシネマにて、映画「ビフォア・サンセット」(Yahoo!ムービーによる解説)を観る。
十年前、一夜を過ごした男に再会した男女の、飛行機がパリを発つまでの限られた時間に再燃する恋、ひたすら会話のみ。面白い映画なのだが、何か…
それは私が25歳だからなのかもしれない。
久々に再会した男は、流行作家としての地位と恵まれた家庭を持つ。ヒステリックになる女に、男は様々な気苦労を説明し、云う。
「僕が君より惨めで安心した?」


場内を飲む話芸


友人と新宿の末広亭(末廣亭)に行く。夜の部のトリをとった柳家小三治紹介ビデオ)の「芝浜」は良かった。大きなホール、又CDやラジオでは到底体感し得ない張りつめた空気、それこそ関東の寄席小屋であろう。
なんて思いつつすきま風に閉口。徐々に風邪をひき、善福寺(東京都杉並区)の実家に直行。タクシーの窓越しに。フランスのアニメーション「キリクと魔女」の魔女みたいな、枯れ木に這う青い電飾の奇怪。