「あっけらかん系」続く

新宿のコニカミノルタプラザにて、(それぞれ4月28日まで)
フォト・プレミオ −24人の新しい写真家登場− 津乗健太写真展 「楽しくなさそうにはしていない猫」
近所の猫の写真。「猫の写真」というとそれだけでもう、内容が見えて「結構」なのだが、なかなか面白かった。いや、可能性を感じさせるとでも云おうか、特に「良い写真」という訳でも無いのだが、目を引きつけられるというのか、いや、それほどでは無いけれど何か引っかかる物が残る、というのか。
「猫を撮る」場合、可愛い猫の生態を撮るか、或いはそれを避けて博物学的に撮るかのいずれかだと思うのだが、そのどちらでもなく、「情と理性の間」とでも云う様な作者の姿勢が面白い。
フォト・プレミオ −24人の新しい写真家登場− 山方伸写真展 「bee fly」
白黒で撮影した地元近所の写真。これも同じく、何か先の事を感じる写真。またもう一周観たくなる写真。プリントも、下手です。水準がバラバラの様な気がする。撮影時の思い入れでもあったのか。
第30回木村伊兵衛写真賞受賞作品展
中野正貴写真展「東京窓景(とうきょうまどけい)」

今年の木村伊兵衛賞は、最年長の中野正貴氏。
「最年長」とは云う物の、ここ数年の「あっけらかん系」続く。いや、凄い写真ですよ。でもなぜか会場で大きなプリント観ると何なんだよなぁ…


「下町」というトレンド

新宿のコニカミノルタプラザにて、(それぞれ4月18日まで)
清田一樹写真展「Round Midnight」-深夜徘徊者の視線-
藤森順治写真展「池上線が走る町」
カメラのキタムラ「四季のフォトコンテスト2004・春」入賞作品展
を観る。そのまま高層ビル街の一つにある
新宿ニコンサロンにて、
大西みつぐ写真展「路上の温度計 -Tokyo Serenade 2-」』(4月25日まで)
を観る。
「下町」が一つのトレンドとなってしまった今、「下町」を追い続ける事を続ける。というのはどうなんでしょ?なんて杞憂で、「下町」という素材を上手に料理していた、凄い。
さすが、「木村伊兵衛賞作家」。


「父と娘の物語」(サマリア)

韓国映画「サマリアYahoo!ムービーによる紹介)」を観た。「魚と寝る女」「悪い男」のキム・ギドク監督の最新作は「援助交際」、韓国の。
照りつけるようなドぎつさは、なりを潜め、しかし畳み掛けるような語り口でそれは健在。
底無しに悲しい、父と娘の物語。
東京都写真美術館にて「小林伸一郎写真展 BUILDING THE CHANEL LUMIERE TOWER」を観る。(4月17日まで)
場の凄さは分かるけれども、それだけ。撮影者のそれでは無い。
置いてあった写真集はそれなりに観るべき物があったから、撮影者がシャネル銀座ビルに捕らわれの身となってしまった様。
ちなみにシャネル(CHANEL)は東京都写真美術館の設立にお金を出した一社。


「映画と建築」(トニー滝谷)


日曜夜のドラマ「Mの悲劇」がおもしろい。松本清張が原作らしい。
原作の連載が延びて話を続ける必要に迫られたのか、最近長谷川京子が善玉に変わっちゃって、あの「何を云っても企んでる」ワルい女ぶりが見られ無くなって惜しい。
金八先生(リンクは現在放映中の物)」では教員、「グッド・ラック(GOOD LUCK!!)」では(飛行場の)地上整備員が流行って、今度は警備員ブーム?しかしあんなに現場からボコボコ本社に上がるもんなんだろうか。
新宿のコニカミノルタプラザにて、
AMRIT VAJRACHARYA写真展「私の街 パタン」-Kingdom of Nepal-
ハレの場ばかりなのが気にならないではないが、かなり撮り溜めたであろう内容の濃さ、面白かった。
陳衛中写真展「第三極 —中国西部印象」CHEN WEI ZHONG PHTOGRAPHY EXHIBITION The Third Pole-West of China
派手な風景写真だなあと思ったら撮影者は「上海を基点に活躍するコマーシャル写真家」だそうで、道理で。
映画「トニー滝谷Yahoo!ムービーによる紹介)」を観た。監督: 市川準、音楽: 坂本龍一、撮影: 広川泰士(写真家)、そして出ているのがイッセー尾形と宮沢りえ、という何だか豪華な布陣である。しかも原作は村上春樹の短編というのだから、怖い物無し。
内容は、「ドロドロの寸止め」。
総じて建築が凄くて、主人公、トニー滝谷の家は横浜の高級住宅地らしき丘の上。窓の大きな、白を基調とした家が、彼の空虚且つ孤独な環境を物語っていて、秀逸。
開演前の映画館にて、がら空きの客席に向かってテアトル系映画会員の宣伝をする男。「こんな人生もあるのかな」と思ったり。


生真面目写真

用あって実家へ帰る。我孫子→善福寺。
途中、新宿のコニカミノルタプラザに寄り、『フォト・プレミオ −24人の新しい写真家登場− 吉田穂積写真展 「Chronic Absence」』(3月4日まで)『フォト・プレミオ −24人の新しい写真家登場− 林 知遠(イム ジウォン)写真展 「光を求めつつ」』(3月4日まで)『森脇啓好写真展 「宗谷」 -冬の旅-』(3月4日まで)を観る。
ある意味対照的な二つの写真、「現代社会(この場合、ニューヨークとパリ)の印象」である「Chronic Absence」と、「アジア、アフリカから日本に来る盲学校への留学生」の「光を求めつつ」。銀塩の白黒写真である事は変わらないが、「Chronic Absence」は展示方法もざっくばらん。現代美術の様な感じ。対して「光を求めつつ」は、写真全てが真面目で、プリントもツボを押さえていて、好感は持てるんだけど、インパクトに欠ける感じは否めない。腰を据えて鑑賞するという形態では、まだ良いのだけど、会場に置いてあった「アサヒカメラ」のグラビアに載った写真では、周囲に埋もれてしまって、損をしている。


最後の卒展

築地に掛け取り納品に行きがてら、竹橋の国立近代美術館にて「河野鷹思のグラフィック・デザイン–都会とユーモア」(2月27日まで)を観る。美術館だから大きな部屋での展示かと思いきや、中の一室のみでの展示だった。
またも、常設展示の『所蔵品ギャラリー「近代日本の美術」』をちゃんと観たいなあと思う。後ろ髪を引かれつつ、撤退。
銀座の富士フォトサロンにて。
日本大学芸術学部写真学科平成16年度卒展』(3月1日まで)
「先輩風を吹かしてやるか」と意気込んで行ったのに、知ってる人居ない。
『日本写真学園卒業展』(3月1日まで)
学校が無くなってしまうので、今年で最後の卒展だそうな。「日芸最後の卒展」なんてイヤだな。無いよね、そんなの。
しかし相変わらずうるさいギャラリーだな。上を高速道路が走っているので、ガタゴト、ドシン、ドシン。


東京縦断


お仕事にて、東急田園都市線の「宮崎台(神奈川県川崎市)」へ。
「何か恨みでもあるんじゃないの?」って位、遠い。今は東武と東急田園都市線が繋がったから、北千住で東武線に乗り換えるだけで行けちゃうのだけど、頭が古くて山手線周り。だいたい「台」とか「野」とか付ければ「ニュータウン」だと思いやがって東急。(それに「整備された町並み」を夢想して群がっちゃう方も何なんだけどさ)
行って帰ってくるだけ、というのも悔しいので、新宿(上野に行ったら品切れ)のヨドバシカメラにて印画紙を買う。ベタ(ネガの一覧見本みたいなの)をほっくり返していたら(と云っても今はiBookの中の「ベタ」フォルダを"だぶるくりっく"するだけなのだが)、焼いてみたいのが出てきたので。
ついでに卒展、銀座の富士フォトサロンにて
日本写真芸術専門学校卒業作品展』
生徒数が多いのか、やたら数が多い。これだけゴチャゴチャしていると、その中に埋もれない、というのも一つの写真の能力だな、と。協調性のある写真ばかりで。
『専門学校東京ビジュアルアーツ 2005卒業制作展』
上記の写真芸術専門学校よりは良かったとは思うけど、まあさいですか。
帰宅すると、Amazonで注文していた(結局買った)「ジャック・タチ」の作品集のDVDが届いていた。
「4〜6営業日以内に発送」と書いてあったのに、土曜日に注文して今日来たのだから、予想外に早かった。早かったのは良いけれど、僕もお金をおろしに行かなきゃならなかった。(着払い)
「宮崎台」駅にあった「電車とバスの博物館(当然ながら東急配下)」。月曜休館だったので外から。「渋谷-二子玉川園」。
数十年前までこんなのが246(ニーヨンロク、国道246号線、現在東急田園都市線がこの下を走っていて、上は高速道路)をコトコト走っていたのかと思うと不思議。


信心、卒展、映画、酒。


銀座に映画を観に行く(一昨日は柏に行き、段々と遠出のリハビリ。)が、11:25の回には間に合いそうもなかったので、13:55の回に目標を変更し、雨の浅草を歩く。と云っても寒くて寒くて、東武浅草を降りて、雷門から仲見世を通って浅草寺へ。十円玉を切らしていたので、五円玉を御賽銭に、殊勝にも「南無観世音菩薩」。
銀座に着くも、外は寒いので地下道を都営浅草線の東銀座から歩いて「富士フォトサロン」へ、卒展シーズン。
東京工芸大学芸術学部写真学科卒業制作展』(今日まで)。元は東京写真大学と云った由緒ある大学。
今や既定の表現方法としての「逸脱した表現」が多い。
東京綜合写真専門学校第45回卒業展』(今日まで)。写真の専門学校としては歴史のある、作家的要素の強い日吉(東急東横線 横浜市港北区)の学校。
やんちゃな感じは無いが、こちらの方が面白い。一旦社会に出た人も多いだろうから、その「人生経験の差」の様な物が出るのだろうか? 置いてあった学校紹介のパンフレットには講師紹介のページがあって、方々から写真家(写真評論家)をかき集めているが、半分ほどが日芸卒というのは何とも…
映画「故郷(ふるさと)の香り」を観た。昨年観たションヤンの酒家(みせ)」の霍建起(フォ・ジェンチイ)監督の最新作。日本では「山の郵便配達」の監督、と云った方が通りやすいかも。
個人的には、「ションヤンの酒家(みせ)」をいたく気に入っているのだが、今回の作品は、「山の郵便配達」に逆戻りした感じ。それを期待する向きもあるのだろうが。
物語は、数年ぶりに故郷に帰った男(ジンハー=井河)が、今は村の幼馴染みの(ヤーバ)と結婚している初恋の人(ヌアン=暖)に会う。という話。人名と読みが繋がっていないと、字幕では人名が漢字だったり片仮名だったり。
それともう一つ、過去の思い出と現在が交互に進行していく形式なのだが、現在観ているのが過去の事なのか、現在の事なのか、それが分からない。びっこひいてる筈の初恋の人(ヌアン=暖)がぴょんぴょん飛び跳ねているので「これは過去の事か」と気付くか、或いは華やいだ色、多少アンバー(赤褐色)がかっているような全体の色でそれと分かるぐらい。
クサい話を、美しい風景の中に淡々と展開して説得力を持たせる手法は健在だが、この映画はクサさが目立ったかも。お金をかける様になってきたのか、クレーンを多用していて、それが違和感として出てくるのかもしれない。平地に据えたキャメラであればロングショットを撮ってもいわば点(人)と線(風景)だが、クレーンで俯瞰すれば風景を面で捉えられる利点はあるものの、本来人間の目が無い場所から風景を眺めるのは違和感があるのだ。
だけどそれほど悪くないとは思いますよ(フォローになってないけど)。期待故の苦言という面もありますから。
などと云いつつ映画館は平日の昼間から凄い混み方で、何故かと思って訊いてみたら、ここ「銀座テアトルシネマ」に限らずテアトル系は、毎週水曜日、誰でも(男女問わず)1,000円で映画が観られるのだそうな。気を付けよう(私は)。
早朝の地震(茨城県南部を震源とする震度5弱)で起こされたお陰で、眠い眠い。それでも耐えて、夜零時よりの衛星放送で、「ジャック・タチJacques Tati)」(フランスの喜劇俳優・映画監督 1944-1982)の「僕の伯父さん」を(ウイスキー呑みつつ)見始めたのは良いが、翌日目覚めて考えるに、最後まで観た記憶がない。ストーブは消してあり、蒲団に入っていたからきちんと寝たのだろうが、面白かっただけに悔しい。
「DVDを買ってでも最後まで観てやる!」と意気込んだのは良いが、調べてみたら彼の作品集という事でDVDボックスは17,640円。う〜ん、意地でも観ておくんだった。


治ったんだか治ってないんだか

先日ひいた風邪が尾を引いているらしい。薬を飲んで完治したつもりが、そのままダラダラと。治ったつもりで千倉に行ったりすると、次の日必ずぶり返してくるので、油断ならない日々。完全に治そうと思うと家に軟禁状態で、出掛けられない。
昨日今日、やっと完治と思った(これで三度目ぐらいなのだが)ら、今度は胃に来て、食べると胃がむかむかする、気持ち悪い、痛い。
しばらく家に閉じこもって、油断することなく本格的に治そう。あぁ…
と一通り愚痴を書いて、本当に書きたいのはこれから。
以前から作家の池澤夏樹氏のメールマガジン「異国の客」を購読していて、その中で知ったのだが、氏の近刊、写真家本橋成一氏との共著「イラクの小さな橋を渡って」の英語版、フランス語版、ドイツ語版が翻訳されていて、上記リンク先から無料でダウンロードできるのだ。
実際出版されている写真集を、クオリティーは全く劣るが、無料で自分のパソコンで観られる様になるとは凄い。これだけの良い物を。
繰り返しになるけど、クオリティーは出版物とは全く比べ物になりません。


私は幸福です…?(ビフォア・サンセット)


撮影の仕事で音羽(おとわ)(東京都文京区)へ。都会の真ん中に、丘に建つ豪邸。「旧鳩山邸」とかで、和夫(衆議院議長)、一郎(総理大臣)、威一郎(外務大臣)、由起夫(衆議院議員)、邦夫(衆議院議員)…と続く名門政治家一家のお屋敷。門を入ってくねくねとした坂を登ると、「お屋敷」に必須?の「鹿の首」がにょきっとお出迎え。今は500円(障害者は300円)で、公開されているらしいが、高いので、外から眺めるのみ。
門の所には、五代目の都議会議員「鳩山太郎事務所」の縦看板が。どういう事務所やねん!
麹町(こうじまち)(東京都千代田区)に行ったので、折角だからとJCIIへ。
明治の古写真 「スティルフリードが見た日本」』外人が見た江戸時代の「オー!エキゾチックジャポーン!」の湿版写真。作者の動機はそうでも、それが記録となるのでしょう。
仕事を終え、新宿のコニカミノルタプラザにて(いずれも2月14日まで)
わだ晶子写真展「豊美なる伝統行事」〜ヒンドゥークーシュ山脈の異教徒カラーシャ族〜』『高田昭雄写真展「橋脚になった島」1972〜2004』『兼平雄樹写真展 「同潤会江戸川アパートメント」』を観る。
「同潤会江戸川アパートメント」は、もうちょっと陰の部分があった方が良いと思う(いろんな意味で)。あああけすけにカラーで撮られると…
恵比寿ガーデンシネマにて、映画「ビフォア・サンセット」(Yahoo!ムービーによる解説)を観る。
十年前、一夜を過ごした男に再会した男女の、飛行機がパリを発つまでの限られた時間に再燃する恋、ひたすら会話のみ。面白い映画なのだが、何か…
それは私が25歳だからなのかもしれない。
久々に再会した男は、流行作家としての地位と恵まれた家庭を持つ。ヒステリックになる女に、男は様々な気苦労を説明し、云う。
「僕が君より惨めで安心した?」